ー長い時間をかけた議論で見えてくるものがあるー
異業種で学びあう1泊2日の合宿

「技術マネジメントと新規事業を考える会」では年に2回の合宿を行っています。
合宿ではご参加メンバーの皆様の「自社の置かれている状況」、「立場・ミッション」の共有と
「課題・悩み」、「議論したい点」についてディスカッション・発表を行います。
各社に共通する本質的課題を抽出しそれについてできる限り議論を尽くしていきます。
また合宿全体を通じてフランクに議論し、親睦を深めることができ、
お互いがお互いを高め合う時間の共有によって、
かけがえのないネットワークを構築することができます。

ご参加者様からの参加レポート

元ブラザー工業株式会社 P&S 事業 LM 開発執行役員付部長 林祐二様

「技術マネジメントと新規事業を考える会の異業種交流会合宿」
日程:2024 年1 月26 日~27 日
場所:伊豆

概要

 様々な業界からの参加者がリアルで集まり、新規事業開発に関する深い対話を行う場 として開催されました。
 参加者層は20 歳台から60 歳台まで幅広く、 化学、化粧品、車関係、食品、住宅、電機、半導体、電気部品、精密機器などの異なる分野からの ビジネス経験、加えて日本だけでなく、中国、インドなどアジア各国、欧米各国での経験や アカデミア関係、NPO 関係の協業経験も有り、多様性に富んだ考えを持った参加者でした。
 「新規事業開発における取組と課題、いかに成功させるか」 について進行役と発表役(初期役)を決め、深い対話を行いました。

グループに分かれて対話

 約4 人ずつのチームに分かれて対話を行いました。
 初対面のような緊張を感じながら自己紹介から始まり、徐々にオープンに対話が進みました。各チームでは自社や個人の新規事業開発の動機、具体的な取り組み、および課題について議論し、課題共有と気づき、そして知恵の創出を行いました。

夕食後の対話と交流

 露天風呂でも新規事業開発の話題が盛り上がり、夕食の時間が迫り、急いで夕食会場に向かう様子も見られました。
 夕食後、各自が持ち寄ったこだわりのお酒も加わってアルコールをガソリンとしつつ、対話はより滑らかに更に深くなりました。参加者は個々の自由なトピックに移り、まじめで普段から疑問に思っていることなどについて本音ベースで愉しい対話が続きました。
 特筆すべきは、和やかで笑顔が絶えない中でも、普段なかなか言えないような正面から本音ベースの対話が行われ、お互いの信頼度が時間とともに高まっていったことです。

(翌日27 日)
各チーム対話内容の共有とQ&A

 場の空気が信頼で温かくなる中で、前日対話した内容について各グループでまとめ、そしてそれを全体で共有し、Q&A でさらに深堀りしました。
 例として、既存事業と新規事業のリソース、既存事業と新規事業共にモチベーションを高める評価と人事制度、コーポレートと事業部の連携、テクノロジープラットフォーム構築と実践活用、ダイナミックケイパビリティの探索をバリューチェーンの誰にするのかについて共有と活発な(突っ込みが鋭すぎ(笑))Q&A が行われました。

全体を通しての気づき

 「イノベーション=技術革新」と勘違いしてしまった日本。イノベーションの父と呼ばれる経済学者ヨーゼフ・ シュンペーターが提唱したイノベーションの正しい意味は「これまで組み合わせたことのないものを、”つなげ る”ことによって新たな価値を創造すること(新結合)」。
 一方、ダイバーシティ(多様性)が企業の成⾧を促進する原動力と言われており、国レベルでも産業革命以降になぜ欧米が世界をリードし続けて来られたかは、欧米が構造的に持っている多様性が大きな要因とも言われています。
 でも、実際に現場で進めてみると簡単に多様性とは言うものの、多様性はバラバラになりやすいという側面も持っていて、それぞれのバラバラを“つなげる”ことを、多様性の距離が遠ければ遠い程、どうやったら上手くつなげられるかをリーダは悩んでいるのではないでしょうか?

 今回の合宿ではその1つの解となり得るヒントを垣間見たように思います。遠い距離の多様性を“つなげる”のも 必要ですが、その前にまずは自分の周りの多様性を深く“つなげる”ことが最初の一歩なのかもしれません。一人 の人間同士として垣根を無くし尊敬を持ちつつも本音ベースでぶつかり合いながら対話を重ねていくことで、一 円融合(二宮金次郎)の光が見えてくる。
 ある参加者が、「会社内では役職や利害などもあって、合宿のような深い対話までなかなかできないんですよ~」とおっしゃっていたのが印象に残っています。合宿が終了して帰る時の参加者の皆さんの笑顔と輝いた瞳からは、今回の豊かな対話を通じて何かを得ていたことが伺えました。
 温泉で汗をかき、そして脳にもいっぱい汗をかいて愉しかった2日間となりました。新結合が起こる予感もします。このような機会に参加させて頂き感謝感謝いたします。